360日の自分のために
ドライヤーを買い換えた。
以前のものは調子が悪くなっていたからだ。
そもそもドライヤーがあまり好きではなく、面倒で使わなかった。
だからこそ、毎日使いたくなるような、ちょっと贅沢なものを選んだ。
ここ数日、ちょっと欲しいものがあった。
お出かけの時に必要な、着物の羽織もの。
なかなかこれというものが見つからなくて何日もネットで探し続けて、その労力が一体何なんだろうと、ふと思った。
新年から、とは行かなかったが、立春を機に、特別な日の装いの物も買うのはもうやめたい、と思った。
一年365日の、例えば特別な五日間のために、私は一体どれだけのお金を、時間を、気持ちを費やしてきただろう。
しかし、今まではその五日間のために
頑張ってきた。
でも、今は違う。
本当の私は、残りの360日に生きていることが、やっと、やっとわかったのだ。
だから、私は、特別な日のための羽織ものを買わずに、とびきりステキなドライヤーを、今日、買った。
それは、一度使ったらクローゼットに仕舞われることはなく、今日も、明日も、そしてまた明後日も使うことが出来るのだ。
その楽しさをようやく知った。
これまで面倒だった髪を乾かす手間が、こんなにも待ち遠しいなんて。
嘘みたい。